コラムの第1回で取り上げたように、スーパーマーケットの売れ筋商品の顔ぶれは、地域によって異なっています。第1回では売上が上位の単品(SKU)について、京浜と九州で比較しましたが、第4回では、アルコール飲料の主要なカテゴリーを取り上げ、地域によってスーパーマーケットで売れているカテゴリー(JICFS細分類)にどのような特徴があるかをみてみます。
下図は、全国6地域のスーパーマーケットにおける、2015年11月の、アルコール飲料の売上金額に占める、各カテゴリーの売上金額構成比を地域間で比較したものです(※)。なお、新ジャンルと呼ばれるビール系飲料の多くは、「リキュール類」に含まれています。
図:アルコール飲料の売上に占めるアルコール飲料の主要カテゴリーの金額構成比(2015年11月)
いずれの地域にも共通してみられる特徴は、「ビール」と「リキュール類」の構成比が高いことで、どの地域でも2カテゴリー合計で40%前後に達しています。中でも北海道では45%以上と特に高くなっています。その他のカテゴリーで目立つのは、何と言っても九州における「焼酎(乙類)」の突出して高い構成比でしょう。なんと、約25%を占めています。コラム第1回でみたように、『黒霧島』などの芋焼酎が単品レベルでみた売上の上位に入っていますが、カテゴリーとしてみた場合でも「焼酎(乙類)」の人気の高さが際立っていることがわかります。他には、「果実酒」は京浜、「清酒」は北陸・甲信越と東北で、他地域よりも構成比が高くなっています。
このように、カテゴリー(JICFS細分類)別の売上金額構成比を地域間で比較することで、単品レベルの売上ランキングだけではわからない、各地域における消費者の嗜好の特徴を、より明瞭にみることができます。スーパーマーケット各店舗は、地域の消費者の厚い支持を得ているカテゴリーを強化することが必須なことは言うまでもありませんが、他地域ほどには消費者に浸透していないカテゴリーについても、カテゴリーの良さを店頭で訴求することで試用購買(トライアル購買)を促し、需要を創造していくことが重要になっていくでしょう。
※ここでは、NPI Report の2015年11月のPOSデータで、「ビール」、「リキュール類」、「その他雑酒」、「発泡酒」、「焼酎(甲類)」、「焼酎(乙類)」、「清酒」、「果実酒」、「スピリッツ」、「ウイスキー」の合計売上金額をアルコール飲料の売上金額と定義し、各カテゴリーの売上金額構成比を算出しています。なお、「その他雑酒」、「発泡酒」、「スピリッツ」、「ウイスキー」は図には掲載していません。また、NPI Reportでは全国を9地域に分けていますが、上図には6地域を抜粋して掲載しています。