もうすぐ、皆様が待ちに待った(?)バレンタインデーがやってきます。クリスマスやハロウィンなどと並び、日本人の生活に定着している季節イヴェントですが、近年では女性から男性へのプレゼントのみならず、女性の友達同士がチョコレートを交換しあう、「友チョコ」なる新風習も見られるなど、バレンタイン市場は活況を見せています。 「POSデータでみる地域性」では、今回、チョコレートを取り上げ、スーパーでバレンタイン時期に特に売れるのはどの地域なのかを見てみたいと思います。NPI Report では全国9地域のPOSデータ分析ができますが、今回は京浜と九州を取り上げます。下図は、京浜と九州のスーパーにおける、2015年のチョコレートの売上金額の月次推移(各月の金額PI値を年間の値で除した指数)を表しています。
※NPI reportで「トレンド分析(月別)」の機能で出力した分析結果を少し加工して作成したグラフです。
グラフから、いずれの地域でも、バレンタインデーのある2月に売上金額の山があり、春、夏と季節が進み、気温が高くなるにつれて、売上金額が徐々に減少、8月に谷があり、そこから秋、冬、と進むと、徐々に売上が増加する、という特徴が共通してみられます。
地域による違いは、2月、バレンタイン時期に顕著に見られます。九州では金額PIの年間平均(1.00)に対して2月は2.5倍と非常に高い値となっています。九州では沢山の女性がスーパーでバレンタインチョコを買っているのでしょうか。それとも、1人当たりのチョコレート購買金額が大きいのでしょうか。今年も九州のスーパーでは、バレンタインデー向けの商品が華やかに展開された売場で、沢山の女性がチョコレートを選んでいることでしょうね。一方、京浜でも2月に売上金額の山がありますが、その高さは九州と比べると控え目な印象です。もしや、京浜では、バレンタイン離れが進んでいるのでしょうか?これは筆者の推測にすぎませんが、京浜には他地域と比べ、スーパー以外の小売業態が多く存在するため、コンビニエンスストアや百貨店(デパート)などでバレンタインのチョコレートを買う女性が多いのではないでしょうか。そういえば、Perfumeも「バレンタインが近づいてデパートの地下も揺れる」と歌っていますよね。
今回のような分析を通じて、例えば、京浜地域のスーパーでは、百貨店に負けないようなリッチ&ゴージャスなチョコレートを品揃えして華々しく売場で展開することで、百貨店からバレンタイン需要を奪おう!(デパートの地下ではなく)スーパーの売場を揺らそう!などのテーマで販売促進企画を立てることなども可能です。データ分析からみえる地域性と、データからの洞察、そして大胆なアイデアで、スーパーの売場が刺激に満ちたものになれば、毎日の買物にも「ワクワク感」が増すことでしょう。
【関連情報】
流通経済研究所コラム「日常の買物に『ワクワク感』を。」 鈴木雄高 (流通経済研究所 主任研究員) http://www.dei.or.jp/opinion/column/120813.html